
ビジネスプロデューサー道場の主宰者である秋山進さんとは、どんな考えを持っている人なのだろうか。ここで、少し紹介したい。秋山さんはリクルート時代、まだ会社全体が紙媒体全盛の中で、リクルートブックオンザネット(現リクナビ)を構想し立ち上げた、生粋のビジネスプロデューサーである。
秋山さんによると、ビジネスプロデューサーの行動指針は、いわゆる「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」に対比して、「置き石・水やり・待ち伏せ」だと言う。その最大の違いは、報連相が活動を「つねに目に見える」ようにするのに対し、ビジネスプロデューサーは「目に見えない仕掛け」を大切にしているところだ。
ビジネスプロデューサーは、川の流れを変えようとしたときに、いきなりダムを造ったりしない。そんな提案が通るわけがないことを知っているからだ。3つくらいの「置き石」をしてみて、少しずつ川の流れを変えていく。そして時々見に来て(「水やり」)、「流れが変わってきたぞ」とほくそ笑む。
置き石が流れてしまっていたら、また違うところに置き直したりする。自然に流れが変わりはじめると、組織もその変化に気づくころだ。ビジネスプロデューサーは、組織のトップを会議室を出たところや洗面所で「待ち伏せ」る。そして、雑談の中で自分の提案をさりげなく伝える。
正式な提案を行う時点では、もうすべての条件が整っている。置き石の向こうに、大きな堤防を造るのは、もうビジネスプロデューサーの仕事ではない。提案を受けて、組織が当たり前の業務として行うからだ。
秋山さんのビジネスプロデューサーの行動指針から学ぶべきものは、「仕掛けは目に見えないから価値がある」ということだ。「置き石しましたので、プロセスを評価してください」などと言ったりは決してしない。自然に流れが変わったと思わせなければ、意味がないからだ。
ビジネスプロデューサーの行動は、最終的に与えるインパクトの大きさに対比すると、きわめて地味だ。誰も見ていないところで置き石をして、時々見に来てメンテナンスをする。こういった行動は表には出ない。
ビジネスプロデューサーの最大の武器は、シナリオを書くことだ。半年にわたるプロジェクトのシナリオを書く、あるいは一時間の会議のシナリオを書く。誰をどのようにやる気にさせるか、反対派をいかに取り込むか...。政治、スポーツ、経営など、人や組織が絡むものには必ず、シナリオがあり、ドラマがある。
ビジネスプロデューサーは、目に見えない仕掛けを作って、組織が自然にそちらに動くように仕向ける。権限は、もし持っていても使わない。権限で人を動かしても、相手が本気にならないことを知っているからだ。
ビジネスプロデューサーの行動を起こす上で、「君を今日からビジネスプロデューサーに任命する」と上司に決めてもらう必要もないし、とくに何かの権限が必要なわけでもない。
明日からでも、心の中で決めれば、いつでもビジネスプロデューサーになれるのだ。
さぁ、ビジネスプロデューサーになってみませんか?



