イノベーション行動科学の特徴

目的:イノベーションの人間的側面を科学する

多くの企業はイノベーション不全症候群に陥っています。その最大の原因は、目標管理や効率性を追求する近代的な経営管理手法にあります。一人ひとりが本来持っている、新しいことやものへと向かう想像性や創造性を抑圧してしまう、経営管理そのものがイノベーションの阻害要因になっています。
イノベーションを生むためには、変化に気づいて提案・決定・実行するまでの革新のスピード、革新生産性に目を転じ、組織を変革行動に導く「強い個」(イノベーションハブ)の行動に注目する必要があります。イノベーション行動科学は、この「イノベーションの人間的側面」を解明する研究です。

視点:社会的不均衡が最大のイノベーションテーマ

イノベーションの視点が大きく変わりつつあることに気づいている企業は、まだまだ多くはありません。
高度消費社会に向けた商品やサービスの開発は、20世紀のイノベーションテーマでしたが、21世紀に入り、世界の社会的不均衡の是正や解決が最大のイノベーションテーマになりつつあります。社会的不均衡は、企業の社会的責任を問うばかりでなく、持続的な企業経営の必須要件であり、また見方によっては巨大な事業機会と見ることもできます。イノベーション行動科学は、企業が「経済至上主義」や「自前主義」から抜け出し、社会セクターとつながる方法を開発する研究でもあります。

3つの研究テーマ:社会起業家、ビジネスプロデューサー、経営管理者の行動科学

イノベーションの実現には、潜在的な課題発見とアイデアを創出する(社会起業家の得意技)、プロジェクトとして推進して事業化する(ビジネスプロデューサーの得意技)、資本を投入して事業を持続的に運営する(経営管理者の得意技)、というそれぞれ全く異なる思考と行動が必要な3つのステップがあります。イノベーション行動科学は、アイデアから事業運営までの3ステップを分析し、それぞれに必要な行動様式と支援環境を解明して、個人のイノベーション行動が組織全体の大きなイノベーションへと転化するための環境の構築を目指しています。
この視点に立ち、1つめの「アイデアの創造」については、社会起業家と企業の社会的活動の交流による社会イノベーション推進をテーマに、2つめの「イノベーションの演出」については、新たな市場を創り出すような商品開発、サービスイノベーションを実現したビジネスプロデューサーが、どんな行動を積み重ねてきたのかをテーマに、研究プロジェクトを推進していきます。