研究成果

2008年度 プラカデミア・サロン for Social Innovation 第2回 「グローバル・エコノミーと社会起業家(2)」

2009年5月21日

【第2回】 2008年6月24日
テーマ:グローバル・エコノミーと社会起業家(2)
進行:服部篤子研究員

■論文紹介
Klaus Schwab, (2008), Global Corporate Citizenship, The Foreign Affairs
Schwab Foundation for Social Entrepreneurship, 5 year evaluation report 2000-2005

 世界経済フォーラム(ダボス会議)を主宰するクラウス・シュワブが企業の社会活動について語る「地球規模の企業市民?政府、市民社会との協働?」、及び、クラウス夫妻が創設した社会起業家を支援することを目的としたシュワブ財団の評価レポートを使用した。
 企業の社会活動をCSRという一言で表現するのではなく、5つに区分し其々の意義を認識し、成果を評価すべきことを主張している。世界経済フォーラムは、既に、1971年にはステークホルダー・コンセプトを導入し、株主以外、地域に対しても責任をもつこと、1973年には企業の社会的環境的責任を明確にした宣言を行っている。そこで、昨今のCSRという表現は、企業の社会活動を過度に単純化していると指摘、以下5つの区分した。企業統治(corporate governance)、企業フィランソロピー(corporate philanthropy)、企業の社会責任(corporate responsibility)、企業の社会起業家精神(corporate entrepreneurship)、そして、地球企業市民(global corporate citizenship)。

 中でも、社会起業家精神とは、社会的環境的責任という発想を製品、サービスに取り入れることであり、企業の研究開発能力を社会革新的な製品、サービスの開発に活かすことと説明した。地球企業市民は、他の4つが具体的な企業の社会行動に対して、レイヤーの異なる用語である。グローバルな課題は、政府や国際組織が主として役割を担うべきであるが、企業が公的セクター、市民社会グループとバランスを保った連携をとりながら、課題解決に貢献することができること、それによって、自らの長期的利益につながる点、さらに、これらの正当性は、活動は宣言や公約で表現するものではなく、結果にある、と主張した論文であった。
 また、シュワブ財団のレポートは、顕彰事業を中心とした事業活動による社会起業家支援と基金の取り崩しにより実施している実態を紹介した。

■ゲストとの対話
小暮真久氏(NPO法人テーブル・フォー・ツー 理事・事務局長)

 テーブル・フォー・ツー(以下TFT)は、先進国の健康維持であるメタボ対策と、途上国の食糧難という、食糧が均等に行き渡っていない問題を解決するために活動。先進国の民間企業を中心として食堂でヘルシーメニューを提供してもらい、その売上の一部(20円:途上国の給食1食分)をTFTに寄付される。そして、途上国に給食を届ける活動。先進国と途上国をつなぐ媒介としての役割を担うコンセプトを持ったNPOである。このアイデアは、世界経済フォーラムのアジア大会で表明された。小暮さんは、このNPO立ち上げを行い、現在も運営責任者である。多くのメディアから注目を得ている。グローバル・エコノミーを視野にどのように、実際に社会起業家精神を発揮しているのか、運営手法とその課題、さらに、社会事業を続ける原動力について語っていただいた。
 社会事業の醍醐味である、人々との出会い、達成観、日々の感動のあることだと語る。また、以前のキャリアであるビジネスセクターとの相違は、自信を持てない、納得できない商品を販売や交渉しなければならい点、現在は、自分のベクトルと合うものを紹介できる点にあった。TFTは、日本から発信することにもこだわりブランド戦略を目指している。

(服部篤子研究員)