【第3回】 2008年7月14日
テーマ:再投資と新たなつながり(1)
進行:服部篤子研究員
■論文紹介
Charles Leadbeater, (2007), Social enterprise and social innovation: strategies for the next ten years, Office of the Third Sector, the Cabinet Office
英国内閣府第3セクター担当室が専門家に社会的企業に関する政策提言を求めた論文集の1つである「社会的企業と社会イノベーション:今後10年間の戦略」を紹介した。著者は、イノベーション、創造性をキーワードに、企業、政府に助言を行なっている。本論文の10年前に発表された、The rise of the social entrepreneurs「社会起業家の台頭」の著者でもある。
本論文は、社会的企業が重要な役割を担う「社会イノベーション」に対して、政府が骨組みをつくる必要性を論じるものである。また、成果の多くは、社会的企業の公共セクターや企業セクターとの協働によって成し遂げられると指摘している。
さらに、政府や市場双方が弱点とする領域において活動している点からも、まだ満たされていない社会ニーズに気付き、ビジネスを適応させていく「更なる創造的資本主義」の実践においても社会的企業の役割が大きいことを説いた。
長期にわたる問題解決には、政府からの補助金や慈善的な寄付に、資金の全てを委ねるわけにはいかないため、市場経済において持続可能となるため、今後、以下4つの点を重視すべきだと提言している。1、より広範囲に贈与経済を拡大させること、そのための税制優遇などを促進すること。2、社会的企業を強化する。規模の拡大と社会へのインパクトの大きさは関係ないため、小さな規模でも大きなインパクトをもたらす戦略が必要であり、そのためには、他のセクターとの連携が不可欠である。3、公共サービスを提供している社会的企業がもたらす便益を明確に説明できるようにする。4、社会事業は、競争力やイノベーションの新たな源となりうる点を示し、英国を社会責任ビジネスの先駆的なイノベーション・センターにすること。
結論として、協働的なイノベーションを促進すること、変化を起こすために消費者を動かす必要性がある、さらに、供給主導よりも需要主導のイノベーションも重要でありそのための政策は、学校教育から始まる、とまとめた。
■ゲストとの対話
梶原文生氏(株式会社都市デザインシステム代表取締役社長)
協働型イノベーションともいえる、つながりを重視することで新たな事業領域を確立した点、需要側、エンドユーザーの視点にたって納得のいくものを創るために、新たなしくみづくりを提供してきた梶原さんに、イノベーション行動哲学を語っていただいた。
都市デザインシステムは、1992年設立した建築・不動産コンサルティングからスタートした。日本では普及が難しいと言われていたコーポラティブハウスにおけるコンサルティングを行った。利害関係者の多岐にわたる要望をまとめていく力を必要とし、そのコーディネート力が新たな事業展開へと進ませた。梶原さんは、学生時代から起業を目指し、オリンピック最終予選4位の結果をもつ、ボート部主将として、「徹底的に考える」という習慣を身につけ、経営理念の根底となっている、と言う。その後、地域活性事業、リゾート施設など事業を急成長させた。(注:講演当時、11億円の経常利益という説明であったが、その直後からの金融不況に伴い規模縮小を余儀なくされた)
例えば、リゾート開発の場合、「リゾートというあり方に、環境、地域とどう向き合っていくか、敷地外の魅力をどう作るか、地域をどう魅力的にしていくか、が本来の魅力であり、自分達がこうあったらいい、という想いを一番大事にしている」。それが社会的に意義のあることだと、語った。「キーワードは無駄を探そう。無駄をなくして、お互いに分け与えれば、社会にとっても企業にとってもハッピーである」、となるまで考え抜くようである。「お客さんに喜んでもらいたいという仲間(スタッフ及び関係者)の共通認識がある。
(服部篤子研究員)



