【第9回 最終回】 2009年2月18日
テーマ:社会的価値と評価(2) 市場と社会のGAP
進行:服部篤子研究員
■論文紹介
Jed Emerson and Joahua Spitzer with Gary Mulhair, (2006), Blended Value Investing: Capital Opportunities for Social and Environment Impact, the World Economic Forum
「ブレンド価値投資:社会・環境インパクトへの投資機会」
すべての組織は、営利非営利を問わず、経済的、社会的、環境的な価値創造が行われる。
ブレンド価値を創出する投資の具体例をあげた論文である。CSR、戦略的フィランソロピー、社会的企業、SRI、ダブルボトムライン投資、持続可能な開発に分類し、横断的課題についても論じている。
市場は、営利と非営利セクターに分類され、それぞれの分析方法をもつ。そのため、価値の本質が反映されないなど、市場と社会のギャップは大きなものとなる。一方で、マイクロファイナンスなどをとりあげて、資本市場に金融イノベーションをおこす動きがあることを説明し、ブレンド価値を生み出す投資資本市場の枠組みを検討し、ポートフォリオを構築する重要性を伝えている。
既に、営利非営利、つまり、経済的社会的価値を分類することに意味を見出すのでなく、論文にみたように、社会起業家は、ブレンド価値に着目している。今後、市場を介在した社会事業は、市場原理を受け入れながら、そのブレンド価値の最大化を図る。それがソーシャル・インパクトととも言えるのではないか。ブレンド価値の評価のあり方が問われていくであろう。
■まとめと対話
「社会起業家から企業は何を学ぶか:GLOCOMイノベーション行動科学プロジェクトの視点から」
野村恭彦(GLOCOM主幹研究員))
まとめにあたり、これまでサロンにお越しいただいた社会起業家たちを振り返り、社会起業家の行動科学をまとめた。
Σ(社会的不均衡 × 潜在的知識資産)=ソーシャル・インパクト
また、従来のイノベーションは、イノベーションが起きるのを管理しているだけであった。イノベーションが起きるかどうかは、問題提起、アイデア、価値定義、実装、普及の各ステップで、「人間が起こす」、人を集め対話し、解決法を見つけていく、地道な「イノベーション行動」にかかっている。
そこで、"イノベーションハブ"の必要性を提起した。イノベーションハブとは、現場の課題の本質をつかみ、関連部門に働きかけて創造的に解決することである。ここにイノベーション行動を解明するキーを見つけることができた。
(服部篤子研究員)



